完成して2年8ヶ月の花館02の家。外壁は張って3年経ち、杉材はいい色に焼けています。
好みは分かれますが、僕はこの色褪せた感じがとても好きです。色褪せるというとネガティブなイメージですが、
「褪せる」という言葉には「もとの色つやが薄くなる」「もとの勢いが失せる」などと表現されています。
ちなみに「さめる(褪める)」とは染色などが薄くなり、地色に近くなることをいうようです。
「褪せる」に戻りますが、もとの勢いが失せるということは張ったときの雰囲気はなくなり変化していることになります。
色つやが薄くなる、つまりマットな質感に変化していくことになります。
バブルの時代の看板はピカピカ、髪につけるワックスはツヤツヤ、身に着ける金属はキラキラと光沢全盛期は木材の仕
上げもツルツルのピッカピカなわけです。木材に関して言えば表面は綺麗なものですが、肝心の木の質感がわかりにくく
なってしまうという問題点があります。
マットなものほど光の反射が少ないので材質の良し悪しがわかりやすいことの方が多いです。
外部に使う木材も紫外線と風雨にさらされグレーになります。張った時の勢いは確実になくなり主張を弱めていきます。
田んぼの中に建つ小さなポンプ小屋などは意識の中に入らないほど自然に溶け込んでいることがわかります。
コンクリートむき出しの小屋ならそうはならないでしょう。それだけ木は馴染のある材料ということもあります。
曖昧なことをグレーゾーン、白髪混じりの紳士だとロマンスグレー。
どちらも和製英語ですが、グレーは物事の中間領域を指すことが多いようです。どちらにも傾かないから落ち着きがあり、
調和があり、ある種謎めいた印象です。
いずれにしろこれからも変化が楽しみです。