スペシャルコラム

  • 僕の知っている二人の「大人」をご紹介します。一人は先輩のパーティに着ていくジャケットを購入しに行ったときの話です。あるセレクトショップの店内を物色していると50歳前後のこなれた出で立ちのスタッフに声をかけられました。「どこに着ていくものですか」と聞かれ、趣旨を説明するとすぐさま別のコーナーから一着のジャケットを持ってきました。「パーティならこのくらいのものでないと」とすすめてくれたジャケットはすばらしい着心地で仕立てや風合いもピッタリ。しかし価格は僕の考えていた予算の3倍。大いに悩みました。スタッフは「安いものをチマチマ買い替えるよりも絶対価値がある一着だ!」とデザインと仕立ての良さを切々と語ります。悩んでいる最中にふと思いました。「コレ、いつもの自分が言っていることじゃないか」と。結果納得してそのジャケットを購入しました。フィッティングもすばらしく今でも満足しています。今考えてみると結局そのスタッフは数ある中から僕に一つしか出しませんでした。

    もう一人はいつもお世話になっているクラブエイトスタジオの越智社長です(リンク張ってますので詳しくはそちらを)越智さんは高い理想を持っている方で説明を何回聞いてもウンウンとうなずいてしまいます。自社の販売している商品に対しての哲学があり、遊びがあり、ユーモアがあります。もちろん独自の哲学もピカピカに磨き上げられています。ソフトな語り口調ですが、意に反するものは受け入れないという頑な面もあるように思います。越智さんは三代使える家具を提案してくれますので、大手家具量販店と比べたら品質も価格も天と地ほどの差があると思います。ロングランなデザインは世代を超えて美しいですし価値もあります。ベーシックと言えばそれまでですが、同時にワールドスタンダードでもあると思います。

    二人に共通するのは単に高い商品を販売しているということではありません。その「モノ」を買うことの意義や価値を十分に心得ているように思います。またそれらに合ったホスピタリティーを提供してくれているとも感じます。一見コストパフォーマンスが悪いように思いますが最終的には価値のあるものを手に入れた喜びがそこにあるはずです。物持ちの良さは日本人の特権だったように思いますが、いつの間にか消費大国になってしまっている現状。けれど日本人だってプラスチックの容器よりも備前の器の方を大切に使うはずです。 なるべくならハンドメイドで、美しいもので、耐久性のあるもので。そんなセレクトをしていたらいつの間にか長く愛用できる品が揃うのではないでしょうか。

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