スペシャルコラム

  • 現在日本では「地球環境に良い」「将来の子供たちへ緑を残そう」などの美辞麗句が並べられ、中途半端な環境政策が遂行されています。このままのスピードで進めば確実に諸外国との差は広がり、近い将来にツケが回ってくることは火を見るより明らかです。日本の環境技術は世界トップレベルにありながら、なぜかCo2削減に苦しんでいるのが現状です。様々な原因がある中で、日本が環境先進国と大きく違うのは「意識の差」ではないでしょうか。目の前の利益を追求するあまり大きなゴールを見失うのはとても残念なことです。細かな節電をすることはとてもすばらしいことですが、それだけでは根本的な解決には至りません。

    昨今は「我慢をしない省エネ」といったたぐいのキャッチフレーズを良く耳にします。これはある程度実現可能だと私は思っています。日本でも20年以上も前から住宅の断熱化が寒冷地の一部で始まり暮らしの質を変える地道な努力がされてきました。一時は「自然のままの方が良い」「気密住宅は息がつまる」などと断熱化に批判的な意見も多々ありました。これは既存のやり方にしがみついた間違った意見です。これだけ気候の厳しい国でありながら、「夏を旨とすべし」だけでは乗り切れない現状がそこにはあるのではないでしょうか。夏と冬、南国と北国。それぞれに適した住まいがあってしかるべきだと思います。

    しかしただ闇雲に断熱材を入れれば快適になるかというと否です。建物の断熱化をすることはエネルギーの削減の前に、最も重要なこと…それは外気から身を守り室内環境を整えること。そこには一定の理論があり、ルールがあるということです。各地域の風土を考慮した採光や通風、配置計画や住まう人へ合わせた設備や使い勝手などが複雑に絡み合います。たくさんの条件を解読して一つの建築を作り上げるわけですから、当然時間も労力もかかります。そして断熱化が進めば当然「エネルギーをゼロにする」という目標も生まれてきて当然です。パッシブハウスやスマートグリットなどはその過程にあるといってもいいと思います。いずれにしろどちらも熱の損失を減らした構造が基本となることは言うまでもありません。綿密な断熱・暖房計画をした住宅は言葉で表現するのは難しいですが、快適性の質が大きく変わります。

    静穏な室内環境は住む人にくつろぎをもたらし、かつ冬でもアクティブな活動を可能にします。これから益々厳しい環境の中で人間は生きていかねばなりません。エネルギーの問題は避けては通れない道です。正しく住まい環境を整えることはひいては人間と地球に良い結果をもたらすと私は信じています。

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