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  • 間が空きましたが、引続き欧州ツアーネタ。

     

    チューリッヒから電車と車で1~2時間。

    西オーストリアのフォーアールベルグ州ブレゲンツ。

    「フォーアールベルグ エネルギー研究所」へ再訪です。

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    今回のセミナーは衝撃的でした。

    日本では発電頼みのゼロエネルギー政策が敢行されていますが、フォーアールベルグ州では

    取組がはるかに上です。それは熱、電気などのランニングエネルギーの他に建材の生産時に

    排出するCO2を50年でゼロにしようとするもの。

    似たような考え方で日本でもLCCMという指標があります。細かく比較することは出来ませんが

    僕は基になっている考え方がやや違うと感じています。

    LCCM住宅のサイトを見ると以下のように書かれています。

     

    「LCCM住宅とは、住宅の建設・運用・解体・廃棄までの一生涯に排出するCO2を徹底的に

    減少させるさまざまな技術導入と、それらを使いこなす省エネ型生活行動を前提としたうえで、

    太陽光、太陽熱、バイオマスなどの再生可能エネルギー利用によって、ライフサイクルトータルの

    CO2収支がマイナスとなる住宅のことである。」

     

     

    どうでしょう?広義に書かれているような気がしますがポイントは二つ。

     

    1.省エネ対策はライフスタイル誘導型とすること

    2.再生可能エネルギーの活用がメインで肝心の「減らす」ための文言が概要文にない

     

    エネルギーを生産するのはとてもシンプルです。太陽光発電を屋根に載せるだけです。

    でももっとシンプルなのは使う分を減らすことです。例えば東北では40%以上が暖房(熱)

    エネルギーです。北東北だと50%を超えます。

    フォーアールベルグだと熱エネルギーの削減が第一義です。

    その後に照明や家電などの電気エネルギーの削減、発電に余剰分があれば電気スタンドの設置などを

    推奨しています。

     

    ドイツでは太陽光発電の売電価格が電気購入価格よりも下回っていますから、自家消費をする方向に

    向かっています。つまり太陽光発電に頼ったゼロエネルギーは売電価格が下がるにつれて効果が

    薄くなり、負担が増えていくようになるわけです。(ちなみに日本も下がってきてます)

     

    ですからあくまでも発電設備で生産した電気は電気機器の使用に留めておいた方が効率的に

    なります。暖房もしくは給湯などの熱エネルギーは日射取得を最大限利用する方法を検討し、

    それでも足りない分は他熱源をバックアップで用意するというのが賢い方向だと思います。

     

    繰り返しになりますが、結局は発電設備頼みではなく地道な躯体性能アップが必須なわけです。

    (もちろん余裕があれば再生可能エネルギー設備を導入することは素晴らしいことです!)

    地道な躯体性能アップはエネルギーを減らすだけではなく、むしろそれよりも居住性を大幅に

    向上させる方を僕は重視しています。

    室内の温熱環境をコントロールできるということが大切です。

    異常気象がこれからも増えると予測されています。

    快適な外気になれば良いのですがおそらくそうはならないでしょう。積雪地域はもっと雪が

    増えたり、大型台風や洪水などにもさらに注意を払わなければいけないですし、寒冷地の

    更なる寒冷化、蒸暑地の高温化などなど快適でない気温が続けば家は身を守るためのシェルター

    機能を強化しねばなりません。

    現在は快適性の追求ですが、近い将来は「最低限身を守るため」というネガティブな役割を

    断熱は担う可能性があります。

     

    ちょっと脱線しましたが、フォーアールベルグ州のエネルギー研究所の意見を僕なりにまとめると

     

    1.熱エネルギーの削減

    2.太陽熱の活用

    3.熱源の再生エネルギー化

    4.交通インフラへの再生可能エネルギーの活用

     

    これらを取組み建設時のエネルギーを可能な限り早い年数でゼロ化して資源やエネルギー面から

    見ても持続可能な建築活動に繋げていくという思想です。

    感銘を受けて帰ってきましたが、僕らの活動もそれらに通ずる(むしろ思想は似てる)ような気が

    しています。持続可能な活動を追求していきたいと思います。